食事・交通費…手当、契約社員にも 同一労働同一賃金指針で  パート・派遣社員の改善は後回し

2017/05/23
食事・交通費…手当、契約社員にも 同一労働同一賃金指針で  パート・派遣社員の改善は後回し

日経新聞

 契約社員が受け取れる手当が増え始めた。食事手当や交通費支給、慶弔休暇や子の看護休暇の有給化が主で、もらう側は歓迎する。昨年12月に政府が示した「同一労働同一賃金ガイドライン案」の効果と見る向きもあるが、パートタイマーや派遣社員の手当改善は後回し。非正規社員間に新たな壁ができてしまわないか。

 「正社員に食事補助があったことを知らなかった。私たち有期契約社員にも、正社員と同じ月3500円が出るのはとてもうれしい。自席で弁当ばかりでなく、外での昼食を増やしたり、仲間との交流に使ったりしたい」。そう話すのはNTTグループのドコモCS(東京・港)で後方事務を担当する笹島葉子さん(39)だ。

 笹島さんはドコモCSでの勤務が5年目。NTTグループは今年の春季労使交渉で、会社ごとに食券や現金支給などバラバラな形で支給していた食事補助を「サポート手当」にまとめ、4月から契約社員にも支給し始めた。
 一方、KDDIは今春、非正規社員について月例給を平均2519円引き上げると同時に、各種手当の処遇を引き上げた。正社員の総合職の賃金引き上げはゼロだった。

 同社によると、(1)これまで差があった時間外賃金の割増率を正社員と非正規で統一(2)子の看護休暇と介護休暇の有給化(3)裁判員に選ばれた際の公事休暇の有給化(4)妊娠中の女性がラッシュを避けるための通勤時間調整幅を正社員と同じ1時間半にする(5)年1回支給の一時金額を従来の5万円から10万円に引き上げる――などが内容だ。

 登用試験を受け、4月に非正規社員から正社員に転換したばかりの斉藤恵美さんは「割増率の統一は、非正規でも時間外労働が生じることが多いので、モチべーションが上がった」と話す。手当で最も歓迎しているのは看護休暇の有給化、次いで介護休暇の有給化、妊婦の通勤緩和策の順だ。「看護休暇が無給で、休むことをちゅうちょする人もいた。有給になったことで看護や介護される側の子や親にも安心してもらえる環境ができる」という。

 手当の拡充はサービス業や流通業でもじわりと広がる。労働組合のUAゼンセンによれば、今年の春季労使交渉の3月末段階の集計でボーナス支給範囲の拡大が4社、通勤手当拡大が1社あった。また契約社員への家族手当支給が2社、カフェテリアプランのポイント拡充が1社、パート社員への慶弔見舞金制度新設が1社、契約社員の年間休日増加が4社など、のべ29社で改善した。

 処遇改善の理由の一つは同一労働同一賃金ガイドライン案だ。手当と福利厚生関係の記述は実質14ページの同案のうち、半分を占める。賞与や役職手当は貢献度、職務内容に応じ、均衡を配慮した支給を求めたが、深夜・休日労働手当、通勤手当や出張旅費、食堂の使用、慶弔休暇については原則的に「同一の扱いをしなければならない」と書いた。

 KDDI労組の長谷川強政策局長は「ガイドライン案の影響はものすごくあった」と話す。もともと同社は家電量販店の販売職やコールセンターで、非正規従業員に依存する面が大きかった。1月にガイドライン案の生みの親の一人、水町勇一郎東京大学教授が講師のセミナーに、労組と会社側が一緒に参加。一定の共通認識ができたようだ。

 また、同一労働同一賃金をめぐる先行裁判例が微妙に影響した可能性がある。程度の差はあるが、非正規社員に一定の手当を支払わないことや、時間外賃金の割増率に差をつけることを労働契約法に照らして不合理とし、賠償を認めた事例があったからだ。

 非正規労働市場の動向も、原因として見逃せない。「タウンワーク」を発行するリクルートジョブズ(東京・中央)の宇佐川邦子ジョブズリサーチセンター長は「需給バランスが求職者優位になったことが大きな改善要因になったのは間違いない」と話す。地方の製造業では以前からあった住居の提供に加え、各種手当支給や10万円といった高額一時金が珍しくない。

 ただ、宇佐川さんによると、手当改善が働く意欲の向上に結びつくのはフルタイム契約社員であり、パート社員の多くは、正社員と同じ食堂や休憩室を使えることなど身近な福利厚生の平等に目がいくという。パート社員の処遇改善は多くの企業が手つかずだが、こうした意識の差を福利厚生と手当にどう反映させるかは今後の課題だ。

 ガイドライン案は根拠法が未整備で、現在は行政指導指針としての効力がない。しかし厚生労働省は4月末から関係法の改正案づくりを大わらわで進めている。法改正作業を横目でうかがいながら、企業は非正規社員の手当のあり方を模索している。(礒哲司)

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解雇の金銭解決、本格議論へ 反発の中、厚労省押し切る

2017/05/23
解雇の金銭解決、本格議論へ 反発の中、厚労省押し切る

朝日新聞  千葉卓朗

 解雇のトラブルをお金で解決する「解雇の金銭解決制度」を巡り、厚生労働省は22日、解雇された労働者が職場復帰を求めなくても、解決金の支払いを要求できる権利を与える新たな制度の導入について本格的に議論する方針を明らかにした。厚労省の労働政策審議会で、今夏にも法改正に向けた議論が始まる見通しになった。

 厚労省は「金銭解決制度」の有識者検討会に提出した報告書案で、労政審で議論するよう提言した。解決金額に上限と下限を設定することも検討事項にすると明記した。

 検討会のこの日の会合で、労働側は「会社が解決金に近い金額を示して労働者に退職を迫るリストラの手段に使われる」と制度の導入に猛反発。経営側にも「企業によって支払い能力に違いがあり、一律に定めるのは難しい」などとして、解決金に限度額を設定することに慎重な意見がある。
 労働側は、労政審で本格的な議論を始める必要はないと主張。議論は紛糾したが、厚労省は異論を押し切って労政審で議論を始める構えだ。検討会は月内に報告書をまとめる予定で、報告書には「検討会の委員のコンセンサス(合意)が必ずしも得られたわけではない」と明記する見通し。

 金銭解決制度は2002~03年と05年の過去2回、導入が検討されたが、実現しなかった。政府は15年6月に閣議決定した日本再興戦略に金銭解決制度の議論を再び始める方針を盛り込み、厚労省が有識者検討会を設置して議論してきた。
 労働法制の改正には、原則として労使の代表者が参加する労政審での議論を経る必要がある。労働側の反発は根強く、議論は曲折が予想される。(千葉卓朗)

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コメント
改革の本丸ではないでしょうか? 今後は必要な制度です。そして派遣社員の活用にも大きく大きく影響を及ぼします。


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パナソニック工場に「地域限定社員」 人手の確保図る

2017/05/23
パナソニック工場に「地域限定社員」 人手の確保図る

朝日新聞  近藤郷平、伊沢友之

 パナソニックは、家電部門の国内工場で働く「地域限定社員」の採用を始める。2年半の有期雇用で雇い始め、その後、定年(60歳)まで働ける無期雇用に切り替える。これまでは、正社員では足りない工場労働力を派遣社員で補っていた。人手不足が進んでいるのを機に、労働力の囲い込みを図る。

 同様の動きは、他の電機メーカーや有期雇用の期間工を抱える自動車メーカーにも広がる可能性がある。
 限定社員は国内12工場で順次採用する。転勤は無い。限定社員の賃金は月給制とし、多くの手当などの福利厚生制度は、正社員と同じにする方向だ。定期昇給や賞与の有無など、詳細は調整中だ。

 昨秋、炊飯器などをつくる兵庫県内の2工場で先行的に採用し始めた。2019年3月末までに約600人の採用をめざす。いま働く派遣社員らも、本人が希望し、派遣元の会社が認めた場合、同じ工場の限定社員にする。優秀な限定社員は正社員に登用するしくみもつくる。

 企業の現場では、3月の有効求人倍率が「生産工程の職業」で1・51倍になるなど、人手不足が深刻だ。原則として期間を区切って入れ替えなければならない派遣社員も、採用が難しくなっている。

 また、労働契約法18条の「5年ルール」が18年4月に本格的に始まり、有期雇用の労働者が通算5年を超えて同じ職場で働く場合、無期雇用への転換を求める権利が与えられる。このため、企業間で人材の確保が一段と難しくなりそうなことも、雇用形態を見直す一因となった。

 大手製造業は08年のリーマン・ショック後、閉鎖・縮小する工場で働く派遣社員の契約を打ち切る「雇い止め」など、非正社員を景気変動に合わせた「雇用の調整弁」としてきた。働き手にとっても、定年まで直接雇用されれば勤務先が確保でき、安心感は増しそうだ。(近藤郷平、伊沢友之)

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※コメント

大手企業の雇用リスクより人材確保を優先した例ではないでしょうか!?
今後 他企業も同様の動きの可能性は出て来る可能性はあります。

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大企業の残業時間、公表義務付け 厚労省が20年メド

2017/05/18
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大企業の残業時間、公表義務付け 厚労省が20年メド 2017/5/18付

日本経済新聞 朝刊

 厚生労働省は2020年にも従業員の残業時間の公表を大企業に義務付ける。企業は月当たりの平均残業時間を年1回開示するよう求められ、従わなければ処分を受ける。それぞれの企業の労働実態を外部から見えやすくし、過度な長時間勤務を未然に防ぐ狙いがある。職場の生産性を高める効果も期待されるが、負担が増す企業側の反発も予想される。

 新たな規制は労働法制では大企業とみなされる従業員数301人以上の約1万5千社が対象。従業員300人以下の中小企業については罰則を伴わない「努力義務」にとどめる方向だ。

 対象企業は厚労省が企業情報をまとめたデータベースや企業のホームページで年1回開示する。虚偽が疑われるような情報しか出さない企業にはまず行政指導を実施。悪質な場合には最大20万円のペナルティーを科す。正社員と非正規社員を分けるかどうかなど詳細な仕組みの議論を労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で来年始める。

 残業時間を公表することで、企業が業界他社を互いに意識し合ったり、時間外労働を減らす新たな動機づけになったりすると厚労省は見ている。学生が就職活動で企業を選ぶ際の判断基準になるとも期待される。

 企業にとっては労務管理の事務が増えることになり、労政審では経営側から慎重論も出そう。残業時間を他社と並べて相対的に比べられることへの心理的な抵抗もある。

 従業員の平均値を年1回示すだけなので細かな労働実態をつかみにくい面もあり、経営者の理解を得ながら実効性ある仕組みをつくれるかどうか問われる。

 厚労省は制度導入へ女性活躍推進法の改正を視野に入れている。同法は採用時の男女別の競争倍率や月平均残業時間の公表などを求めている。残業時間などについては公表を義務に切り替える。法改正が必要な場合、19年の通常国会に関連法案を提出する方針。

 毎月勤労統計調査によると、パートタイムを除く一般労働者の年間総実労働時間は16年時点で2024時間と20年前の1996年(2050時間)からほぼ横ばい。国際的に見て高止まりが続き、長時間労働が社会問題になっている。

 政府は働き方改革を看板政策と位置づけ、長時間労働の慣行を改めるため残業規制を強化しつつある。政府の計画では残業時間の特例の上限を原則年720時間(月平均60時間)に引き下げる。正社員と非正社員の不合理な差をなくす「同一労働同一賃金」も含む関連法案を秋の臨時国会に提出する予定。厚労省は今回の公表義務で働き方改革に弾みをつけたい考えだ。

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人事制度 昭和の美徳は平成の犯罪!

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23万人登録の主婦向け派遣会社がスーパーフードに参入した理由

2017/05/16
23万人登録の主婦向け派遣会社がスーパーフードに参入した理由

滝川 麻衣子 [BUSINESS INSIDER JAPAN]

主婦に特化した派遣会社のビースタイル(東京都新宿区)は5月12日、働く母親をターゲットにした新サービスとして、食品事業に参入すると発表した。

「働くママとその家族の健康な食生活を実現する」を理念に掲げ、グループ会社としてネオベジ(同)を新たに設立。第一弾として、北インド原産のスーパーフードを原料とした健康補助食品の販売を「母の日」の14日から始める。新会社の社長も兼務するビースタイルの三原邦彦社長は同日、会見し「主婦雇用を年間1万人創出する企業の社会的責任として、家事に仕事に忙しい女性の課題解決に取り組みたい」と、新規事業にかける思いを語った。

「働きたくても働けない女性に道を拓いてきた自信はある。一方で、ただでさえ家事に育児に忙しい母親をさらに忙しくさせてしまった『功罪』を感じている」
会見で三原社長はそう明かし、「顧客サービスとして働く分野だけでなく、家の中の支援もしようと考えた。職だけでなく食もサポートしたい」と、異分野への挑戦理由を説明した。

ふりかけるだけで栄養素

5月1日に設立したネオベジは、100%自然食品だけを配合した健康補助食品「ONDISH(オンディッシュ)」を発売する。欧米で話題を呼んだスーパーフード「モリンガ」という北インド原産の植物をベースに、えんどう豆から取ったタンパク質やカルシウムを含むパールパウダーを加えた。ミネラルやビタミンを補う目的で、カレーやサラダ、味噌汁など普段の食事に振りかけて使うという。

1箱税別2800円で、発売1年間で1万箱の販売を目指す。今後も、モリンガを原料とした補助食品のバリエーションを増やす予定という。働く女性は増加するとみて、手軽に食卓に栄養素を加えられる商品の需要拡大を狙う。

開発担当者の小嶋ともこさんは、自身も2児の母で「自分の子どもに安心して食べさせられるものをと、無添加にこだわり抜いた」と話す。ビースタイルの派遣社員として働いた経験をもつという。

総務省の社会生活基本調査(2011年)によると、1日あたりの家事関連時間は男性が42 分、女性は3時間35分。共働き家庭の数が右肩上がりの中、女性の家事負担は相変わらず大きい。また、ビースタイルの調査機関しゅふJOB総研が主婦を対象に実施したアンケートでは「家庭で時間がとられて負担なので短縮したいと感じていること」でもっとも多かった回答は「料理」の55.9%だった。
2002年創業のビースタイルは、女性人材を得意とする派遣会社。時短で働くハイスキル人材や、主婦派遣に特化したサービスに力を入れ、創業以来、延べ6万人の雇用を創出。現在23万人の登録者を抱えている。

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特定派遣103社を事業廃止に 厚労省が処分

2017/05/10
特定派遣103社を事業廃止に 厚労省が処分

【労働新聞】

 厚生労働省はこのほど、特定労働者派遣事業103社を、労働者派遣法違反により事業廃止処分としたと発表した。いずれの派遣事業者も同法に規定されている「関係派遣先派遣割合報告書」を期限までに提出しなかった。


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勤務5年超で無期雇用転換、非正規の8割が制度知らず

2017/05/09
勤務5年超で無期雇用転換、非正規の8割が制度知らず

日経新聞

 非正規労働者が5年を超えて勤務すると正社員と同様に定年まで働けるようになる「無期転換ルール」について、非正規の85.7%が制度の存在や内容を知らないことが5日、人材サービス会社アイデム(東京)の調査で分かった。このルールは非正規の雇用安定を目的に来年4月に始まるが、当事者に十分浸透していない実態が浮き彫りになった。
 アイデムの担当者は「企業が周知に取り組むことも大事だが、働く人は自ら申し込まないと権利を行使できない。積極的に情報収集すべきだ」と指摘した。

 ルールは2013年4月施行の改正労働契約法に盛り込まれた。非正規労働者は同じ会社で契約更新が繰り返されて通算5年を超えた場合、本人の申し込みに基づき正社員と同じ契約更新の必要がない「無期雇用」として働けるようになる。一般的には企業の中核を担う正社員ではなく、職種や勤務地を定めた限定正社員となるケースが先行導入した企業では多い。
 調査は3月、同じ勤務先で6カ月以上働く20~40代のパートやアルバイト、契約社員の男女679人と、従業員30人以上の企業の経営者、人事総務担当者554人にインターネットで実施した。

 ルールを「知らない」と答えた非正規は58.6%で、「内容はよく分からない」は27.1%。「内容も理解している」はわずか14.3%だった。
 一方、企業側は71.7%が「内容も理解している」と回答。「内容はよく分からない」は21.5%で、残りは「知らない」と理解不足の企業も目立った。雇用している非正規への周知・説明を「すでにした」のは48.2%にとどまり、「これからする予定」は38.6%、「予定はない」も13.2%に上った。〔共同〕

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人手不足 進化する職場 崩れる賃金の常識

2017/05/02
人手不足 進化する職場(中)崩れる賃金の常識

若手・非正規に手厚く


2017/5/2付
日経新聞

人手不足が深刻になる中、専門性の高い派遣社員やフリーランスの賃金が上昇している。

正規に固執せず 

大手IT(情報技術)会社で金融機関向けのシステム開発を担当した50代の男性エンジニアは昨春退職し、派遣会社に登録した。年収は約1000万円。転職前の水準を上回った。「仕事を選べる派遣社員に魅力を感じた」と語る。
 IT人材の派遣会社、パーソルテクノロジースタッフ(東京・新宿)社長の瀬野尾裕(43)は「現場の価値観が変わってきた」と話す。専門性が高ければ、派遣社員も正社員と遜色ない収入を得られるようになってきた。

 求人サービス大手のインテリジェンスによると、IT技術者の中途採用求人倍率は3月に8.08倍。3年前(5.66倍)と比べても上昇が目立つ。ITコンサルタントやデータサイエンティストといった専門性の高い職種の引き合いが強い。

 派遣社員はいつでも望む仕事があるとは限らない。しかし、労働市場の逼迫で不安定さに対する心配は薄れた。成果さえ出せば、十分な賃金を得られる時代だ。正社員が全てではない。

 人手不足が深刻な建設業界。2020年の東京五輪開催などを控えて、大手建設会社で現場を支える若手社員の負担は大幅に増している。ゼネコン各社の労働組合加盟団体が転職を検討する理由を聞いたところ、休みを取れないとの回答が最も多かった。

 大成建設は30代前半までの若手社員に限定したベースアップ(ベア)の実施を決めた。平均賃上げ率は6.7%。労働組合も6月までに受け入れる方針だ。初任給も引き上げる。人事部長の小沢正宏(57)は「現場で苦労している若手に厚く報いたい」と話す。
 清水建設、鹿島、竹中工務店も今年の春季労使交渉で、入社年次や社歴によらない一律のベアで妥結した。清水建設のベアは1万円。昇給率は若手がより高くなる仕組みだ。新卒採用難と若手社員のつなぎとめの難しさが年功序列を突き崩す。

中小がベア逆転

 人材難がさらに深刻な中小企業でも異変が起きている。
 機械・金属関連メーカーの労働組合が加盟する、ものづくり産業労働組合(JAM)の春季労使交渉では、中間集計で従業員300人未満の中小企業のベアの平均回答額が1397円とトヨタ自動車などを上回った。
 厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、社員規模別にみた賃金上昇率は16年度に入り、社員5~29人の中小企業が500人以上の大企業をおおむね上回って推移。2月の中小企業の賃金上昇率は0.8%と、大企業に比べて0.7ポイント高い。
 優秀な人材の獲得競争は一段と激しさを増している。賃金に関する常識は過去のものとなりつつある。
=敬称略

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