介護分野に外国人実習生:「安い労働力求めるなら失敗に」

2015/01/28

介護分野に外国人実習生:「安い労働力求めるなら失敗に」

毎日新聞 2015年01月26日 


 ◇施設側「日本人並み待遇を」

 「外国人の活用は理解できるが、なぜ実習生なのか」。外国人技能実習制度を介護分野に広げる方針を厚生労働省が決めたが、低賃金や過重労働が絶えない制度の実態に、介護現場から懸念の声が上がっている。

 「ご飯ですよ」。横浜市保土ケ谷区の特別養護老人ホーム「レジデンシャル常盤台」で、3年前から働くカンボジア出身の介護職員、メアス・ペンさん(32)が入所者にほほ笑む。ペンさんは2002年、日本人と結婚した母親らと来日。高橋好美施設長(65)は「苦手だった日本語の記録もこなせるようになり、みんなに慕われている」と話す。

 体力も必要な介護現場は人手不足が顕著だ。近年は日本人の家族などとして就労資格のある定住外国人の雇用が増加している。高橋施設長は「日本人だけでは支えきれない。外国人は重要な選択肢です」と指摘する。

 ペンさんは公益社団法人「横浜市福祉事業経営者会」が09年度から運営する定住外国人向け無料研修を受け、就職先も紹介された。同会によると、13年度までに44カ国486人が受講し、226人が神奈川県内で就職。同会の甘粕弘志事務局長(69)は「当初は施設側に抵抗感もあったが、熱心な働きぶりが評価され今は引く手あまた」と胸を張る。

 外国人技能実習制度は、出身国の経済発展を担う人材育成という「国際貢献」を名目としながら、実際は人手不足に悩む国内産業の労働力と捉えられている。平均賃金は最低水準で、人権侵害も問題となっている。今回の対象分野拡大について、甘粕事務局長は「人手がない施設に実習生を養成する余裕があるとは思えず、人材が必要ならば介護分野での育成にふさわしい制度を考えるべきだ」と提言した。

 ペンさんは来日後、10年近くメッキ工場などで非正規社員として働き、現在の施設で初めて正規職員になった。ペンさんは「初ボーナスはうれしかった。お年寄りに感謝され、やりがいもある」と笑う。高橋施設長は「日本人と同じ待遇だからこそ、やる気を持って努力できる。『安い労働力』を求めるやり方は必ず失敗する」と話している。【河津啓介】

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