法制化へ 差別禁止、パート以外も 政府方針

2016/02/12
法制化へ 差別禁止、パート以外も 政府方針

毎日新聞

 政府は正規・非正規に関わらず同じ職務の労働者に同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」を法制化する方針を固めた。パートタイム労働者と正社員の差別的待遇を禁じた改正パートタイム労働法(昨年4月施行)の規定を派遣労働者らにも広げる。5月に策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に方向性を盛り込み、厚生労働省の労働政策審議会を経て、早ければ来年の通常国会に提出する方針だ。

 同一労働同一賃金を巡っては、昨年の通常国会で自民、公明、維新(当時)3党の賛成で成立した「同一労働同一賃金推進法」で、派遣労働者の待遇について「3年以内に法制上の措置などを講じる」と定めた。厚労省は当初、政省令での対応を検討したが、安倍晋三首相は「必要であれば法律を作る」と発言するなど法制化に強い意欲を示しており、方針を転換した。
 
法制化では改正パート労働法の規定を他の非正規労働者に拡大する。同法が適用されない派遣労働者や契約社員らを含む非正規全体を対象にした新法も検討しているが、パート労働法や労働者派遣法の改正にとどまる可能性もある。

 パート労働法は、職務内容や責任の重さに著しい差がないことに加え、転勤や配置転換の有無、異動範囲など「人材の活用」が同程度である非正規労働者は、正社員と賃金に差を付けない均等待遇を求めている。だが、この人材活用規定がハードルとなり、パート労働者約940万人のうち同一賃金が実現しているとされるのはわずか約32万人にとどまっている。
 新法制にも人材活用規定が盛り込まれれば格差是正の実効性が低くなるため、政府内では非正規労働者の仕事の習熟度や技能などを評価する「熟練度」といった基準を新たに設けることが検討されている。また、正規・非正規の賃金差の合理的理由について、企業側に説明責任を課すことも検討。「合理性」を判断するのは裁判所になるため、判決が蓄積されるまでルール化は難しそうだ。

 労働関係の法整備には労使の代表を含む労政審での議論が必要で、非正規労働者の賃上げによるコスト増を懸念する経営側の反発が予想される。一方、労働側も非正規労働者に合わせて正規社員の賃金水準が低下することを警戒している。両者が折り合うのは難しく、非正規の賃金引き上げの実現は不透明だ。
 首相は夏の参院選でアベノミクスをアピールするため、非正規労働者の賃金引き上げに意欲をみせる。しかし、厚労省内では「首相の意気込みは強いが、実効性あるものにするのは難しい」(幹部)との指摘も出ている。【阿部亮介】

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