派遣労働者を派遣先が直接雇用に切り替えるかどうかの人事をめぐる助言・指導事例

2016/04/18
派遣労働者を派遣先が直接雇用に切り替えるかどうかの人事をめぐる助言・指導事例

労働新聞

申出の概要

 申出人X(労働者)は、派遣元A会社から、派遣先Y社(被申出人)において電子部品の組立工場の作業員として、3カ月の有期契約更新により勤務していた。
 入社後、派遣先Yの製造課長より正社員登用の話があったものの、一度は立ち消えになった。今年に入り、Yが「正社員」募集の求人広告をハローワークに出したため、Xは応募を希望したところ、Yの製造課長から「あなたは派遣社員だから、応募しても採用できない」と止められた。
 一時期は正社員の登用の話があったのに、応募も出せないことに失望し、派遣先Yに対する不信感が募り、結局、退職した。
 退職はしたものの、このような雇用管理はおかしいと思い、Yの本社総務課宛に今回の経緯をメールで送り、回答を求めたが、1カ月経っても回答がない。
 今回の経緯について、派遣先Yの製造課長および本社総務課にきちんと回答をしてくれるように、助言・指導してほしい。

紛争当事者の主張

申出人X(労働者)

 高校を卒業後、正社員として勤務したかったが、思うような採用がなかったので、今回、派遣労働者として派遣先Yで働くことになった。
 仕事自体は自分に合っていたようであり、現場の人たちにも認められ、入社して1年が経過した頃には、Yの製造課長から、「正社員でやりたいとは思わないのか」と声をかけられ、「なれるのであれば、ぜひなりたい」と即答したところ、製造課長は「じゃあ、総務課に伝えておくよ」と言われ、何度か正社員の人と同じラインに入り、同様の作業を任されるようになったので、正社員になれるかもしれないと期待を抱いていた。
 しかし、その半年後、大手の取引先が倒産した影響もあり、Y社自体の人員削減の話も出たりして、そういう感じではなくなった。
 しかし今年に入り、社内報で、正社員の募集をハローワークに掲載することを知ったので、製造課長に「応募していいですか」と確認したところ、「君は派遣だから、応募しても難しいよ。派遣元との関係とかいろいろあるし、厳しいと思う」等と、前とは全く違うトーンで話をされ、ショックを受けた。
 その後は仕事のやる気が失せ、製造課長とも気まずくなってしまい、結局退職した。しかし、一連のY社の対応には納得がいかなかったので、退職前にYの本社総務課宛に今回の経緯で不満に思った点をメールにした。
 メール本文に1週間以内に返事を依頼していたが、その後退職して1カ月を過ぎても、未だに返信はない。
 Yに対しては、製造課長および本社総務課に、私の人事についてどのように考えていたのか、またメールに対して回答をくれないのはなぜなのか、回答を求めたい。

被申出人Y(事業主)

  こちらからXに対して、「正社員にならないか」、と打診したことはない。当初からXが正社員になりたいという気持であったことは知っていたが、正社員と派遣社員の違いはX自身、よくわかっていたはずである。
 Xは、仕事に対してすごく真面目であったので評価はしていたし、今後の彼のためにもなると思って、いろいろな仕事を経験させてきたが、正社員の登用とは別問題である。
 Y本社総務課
 Xから受けたメールについては、派遣元Aおよび当社の責任者とも協議の上、Xに電話で話をした。
 人事に関して、Xが誤解している面があったので、当社としては詳細な説明を行い、誤解を解消できるようにきちんと回答したところである。
 当社としては、Xに直接、複数回電話で話をしているので、すでに回答は済んでいるとの認識である。

助言・指導の内容

 申出人Xはメールに対する回答が無いと申し出ており、被申出人Yはすでに回答済である等、両者の言い分が食い違う点が多くあった。そのため、きちんと両者で話し合いを行い、メールの回答に対しては、Xの求めに応じて文書でYはこれに応じることを助言した。 またXが述べる、正社員としての勤務を希望しているのに、派遣元との関係からその採用をしないとすることは、採用に関しての権利の濫用となるおそれがあることを指摘し、改善を促した。

結 果

 申出人Xと被申出人Yが、直接面談して、話し合いを行った。
 Yから「Xの人事に関しては、製造課長が個人で判断して正社員の登用の話を持ち出したものであり、総務課としては、内容を把握していなかった。この点は謝罪したい。今後、同様の事態が発生しないように雇用管理を改善し、管理の徹底に努めていく」との説明および謝罪があったことを受け、Xは「回答書を受け、また謝罪もしてもらい、すっきりした。今は別の会社に勤めているので職場の復帰は求めていない。
 今後、同様の事態が起きないように雇用管理を徹底してください」として、納得した。

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 派遣先の雇用管理において、現場部門と本社の管理する範囲が明確に定められておらず、人事権のない製造課長が個人の判断で動いてしまったことで、労働者の誤解を生んでしまった。双方が話し合いの場を設けた結果、誤解が解け、解決した。


※この記事は弊社刊「都道府県労働局による 助言・指導 あっせん好事例集ー職場のトラブルはどう解決されたのか」(平成24年3月30日発行)から一部抜粋したものです。

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