無期雇用で人材確保  事務職派遣で導入相次ぐ 改正派遣法が追い風

2017/02/16
無期雇用で人材確保  事務職派遣で導入相次ぐ 改正派遣法が追い風

日経新聞

 派遣各社が事務職で働く派遣社員の無期雇用に乗り出している。これまで一般的だった有期雇用と異なり、就業先の有無に関わらず給与が支払われる。導入の背景には派遣会社と働き手、派遣先企業それぞれのニーズの変化が透けて見える。
 人材サービス大手のマンパワーグループ(横浜市)は2016年11月に事務職の無期雇用を始めた。18年末までに全国2千人の採用を目指し、100人以上の応募があった。商社やメーカーから派遣要請が来ている。

 マイナビ(東京・千代田)子会社のマイナビワークス(同・新宿)は12月に事務職の無期雇用を開始。職種は一般事務や営業アシスタントが中心で、第二新卒を含めた20代女性の応募が多い。

 派遣先で働く期間のみ給与を受け取る有期雇用と異なり、無期雇用の派遣社員は仕事の切れ目も派遣会社で研修などに参加しながら月給を受け取る。都内の場合は月給は約20万円となり、交通費や賞与も支給される。企業が派遣会社に支払う派遣料金は、有期雇用と比べ1~2割高くなる。

 それでも無期雇用化を促す声は「派遣先企業の側で特に強い」(マンパワーグループ)。派遣社員を取り巻く「2018年問題」で、派遣社員の確保が難しくなることへの懸念が強いためだ。

 15年9月施行の改正労働者派遣法で、有期雇用の派遣社員が同じ職場で働ける期間が3年に統一された。派遣先企業から見れば3年ごとに派遣社員を交代する必要があるため、確保がうまく進むか不安が残る。派遣会社が無期雇用すれば人材を長期で確保できる。

安定雇用が魅力

 派遣会社は働き手を囲い込める利点がある。リクルートジョブズがまとめた三大都市圏(関東、東海、関西)の事務職の派遣時給は1月に1490円。リーマン危機後の最高水準で推移する。時給競争が激しさを増すなか、雇用が一定程度安定していることが働き手を呼び込むアピールポイントになっている。
 働き手の根強い事務職志向がこれに応える。事務的職業の有効求人倍率(パート含む常用)は16年12月に0.42倍と全体の1.36倍を下回る。人気の事務職に未経験者が正社員で転職するのは難しい。無期雇用派遣は未経験者を中心に採用しており、事務職経験を積む入り口となっている。

 スタッフサービスは14年にいち早く事務職の無期雇用を開始。現在約2600人が無期雇用で働いているが、それでも「企業の派遣依頼には追いつかない」(月見里昌輝ミラエール推進部ゼネラルマネージャー)。経験を生かして派遣先で直接雇用される人も増えており、すでに100人以上に達しているという。

人手不足が前提

 ただ、この構図が今後も続くとは限らない。日本総研の山田久チーフエコノミストは「無期雇用は人手不足を前提としている面がある」と指摘する。景気の悪化で派遣社員の不足が緩和されれば状況は変わりうる。
 その際に懸念を残すのが呼称問題だ。事務職で働く無期雇用の派遣社員は、採用サイトで「社員(無期雇用派遣)」と募集されている場合が多い。一部で「正社員(同)」との表記も見られる。

 「正社員」名目の募集を認めるかは昨年に国会で論戦となり、厚生労働省は募集にあたり無期雇用派遣と明示する旨の指針を出している。働き手が「社員」「正社員」といった言葉に求める雇用の安定と、派遣会社が実際に提供するものがすれ違う可能性が残る。

 すでに経験豊富な派遣社員の無期転換をどう進めるかも課題となる。事務職の無期雇用が未経験者を中心に進むのは「事務職は(無期雇用派遣の応募層と重なる)若い女性の仕事」とのニーズが派遣先企業に根強いことの裏返しの面がある。
 アデコ(東京・港)は16年7月から経験者層を対象とした無期雇用を進めている。中西浩一キャリア開発本部本部長は「優秀な働き手を長期的に確保するニーズは一層高まるはず」と意気込む。

 派遣社員の無期雇用は技術者など一部の職種に限られてきた。派遣社員の3割以上を占める事務職での取り組みは、派遣社員の無期雇用が他の職種に広がるかの試金石となる。
(龍元秀明)

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