派遣終了 そのまま正社員 仕事ぶり評価 現職場がスカウト

2017/04/27
派遣終了 そのまま正社員  仕事ぶり評価 現職場がスカウト

2017/4/24 日経新聞

 契約期間が終了した派遣社員が、そのまま派遣先にスカウトされて正社員に移籍するケースが目立ち始めた。人手不足に加え、2015年秋の労働者派遣法改正で、この形の正社員化を後押しする条項が入り、効果が出始めている。元派遣社員は、生活の安定と仕事の高度化にやりがいを見いだしている。


 「派遣先のスカウトは最高のチャンスだと思った。付き合っていた女性と結婚する踏ん切りもついた」。リクルートスタッフィングから東京都内の教育会社に派遣されていた30代後半の男性、Aさん。昨年、同社からスカウトを受け、総合職に転じた。

 Aさんは大学を卒業後、正社員として1年働き、母親の介護で退職。2年の無職期間を経て、20代後半から5社に登録して派遣社員生活を始め、主にコールセンター業務で働いた。その後、紹介されたのが移籍企業だった。

 配属は受講者との窓口部門で、会社の雰囲気に「飲み会に正規社員と非正規社員で区別をつけないなど気さく」と魅力を感じたという。2年過ぎたある日、上司から移籍の話がきた。「ぜひお願いしますと、迷いなく答えた」

 派遣社員が派遣先にスカウトで移籍する動きは、これまで2つの理由で目立たなかった。1つはリーマン・ショック後の不況で、派遣先企業が派遣社員を雇い止めが容易な労働力とみなして受け入れ、正社員化を考慮しなかったこと。2つめは派遣会社が、収益源である登録人材の引き抜きを好まなかったことだ。

 15年の派遣法改正で対策が取られた。派遣会社が職業紹介事業の許可を併せ持つことを条件に、派遣先が派遣会社に手数料を払うことで、トラブルを防止するシステムが施行規則で公認されたのだ。これで派遣会社の態度が変化した。加えて景気拡大で各企業は人材強化に路線転換し、スカウトの動きが広がった。

 スカウトは広い職種で起きている。例えば以前は専業主婦だった福井舞子さん(33)の例。福井さんは昨年8月、企業コンサルタント大手、アビームコンサルティング(東京・千代田)にリクルートスタッフィングから後方支援担当として移籍した。

 福井さんは高校卒業後、数年正社員で働き結婚。その後退職し2人の子を育てた。アビームでの派遣社員期間は13年4月から16年7月までで、配属はQRM(品質及びリスク管理)部門。「コンサルタントの仕事が顧客にどう評価されたか調べ、上層部に伝える重要な仕事」と感じたことが移籍する決め手になった。今も同部門で働く。

 一方、中小企業にとって派遣からの移籍は今や重要な人材確保ルートだ。メンマの専門商社、サンワークス(東京・足立)では、テンプホールディングスから昨年12月に移籍した女性、Bさん(26)が注文の受発注や在庫管理をこなす。「派遣社員時代は、業務にどこまで踏み込むべきか分からなかったが、今はできる限りのことをやろうと意欲が高まった」という。

 これら3人に共通するのは、派遣時代から職責以上の役割を果たそうとしていたこと。Aさんは「積極的に仕事上の提案をし続けた」と話し、福井さんも「事務的な改善策を提案し『やってみなさい』と言われるのが魅力だった」と振り返る。

 収入も増えた。派遣時代のAさんの年収は約300万円だったが今は400万円に。収入増は結婚を決意した大きな理由だ。Bさんも「2~3割アップした」という。

 関係者は彼らの紹介料の有無を明らかにしていないが、日本人材派遣協会の上月和夫副会長は「今は紹介料がしっかり得られる。3年ほど前までは、移籍を困ったことと考える派遣会社があったが、今では派遣社員のキャリアアップにつながるとして受け止めるようになった」と話す。

 厚生労働省は、派遣社員を正社員として雇用した企業に現在、1人最高108万円をキャリアアップ助成金として支給している。16年度には2月までに1674人分が支給された。国の施策にも後押しされ、スカウトは今後も増えるだろう。

(礒哲司)

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人材ビジネスコンサルティング 株式会社ソリューションアンドパートナーズ
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