最低賃金20円超上げへ 2年連続、脱デフレ促す

2017/06/28
最低賃金20円超上げへ 2年連続、脱デフレ促す

人件費増、中小は慎重姿勢


日経新聞

 2017年度の最低賃金は、2年連続の20円超の引き上げとなりそうだ。昨年度の上げ幅は過去最高の25円で、これを上回るかが焦点となる。引き上げによって幅広い地域や業種で時給が上向く。一方で都市部ではアルバイト・パートの募集時平均時給が最低賃金を大きく上回っている。

 厚生労働省は27日、中央最低賃金審議会を開き17年度の最低賃金の引き上げに向けた議論を始める。現在の全国水準は加重平均で時給823円。

 政府は3月に策定した働き方改革実行計画で最低賃金の時給1千円を目指し、毎年3%程度引き上げる方針を明記した。計画を策定した会議には経団連の榊原定征会長や連合の神津里季生会長ら労使トップも参加しており、審議会でも大きな異論は出ないとみられる。

 ただ、中小企業側からは大幅な賃上げは企業体力を奪うといった意見が強く、労働者側はさらなる引き上げを求める可能性もある。3%「程度」と含みを持たせており、25円とは言い切り難い。仮に今年度も3%の引き上げなら25円増の848円となり、今後も3%ずつ上がれば23年度に1千円を超える計算だ。

 最低賃金の引き上げはデフレ脱却を促す方法の一つとされる。第2次安倍政権の発足後、最低賃金の引き上げ幅は昨年度で計70円を突破した。

 その結果、中小や地方企業などで最低賃金の水準近辺で働く労働者数は増えている。改定後に最低賃金を下回る労働者の割合は00年代後半は2%台だったが、ここ数年で急上昇しており、15年度は9%に達した。
 所得が低い層も生活に幾分余裕を持てるようになり、消費拡大に寄与する。また、賃上げをきっかけに、中小企業などにより生産性を高めるよう企業努力を促す作用もありそうだ。

 労使で決定する賃金と違い、法律で義務付けられる最低賃金には政府が介入する余地がある。16年春季労使交渉の賃上げ率(連合集計)は平均2%だったが、16年度の最低賃金の引き上げ幅は3%だった。
 人手不足などから都市部ではすでに最低賃金を大幅に上回る求人を出している企業が多い。リクルートジョブズ(東京・中央)がまとめたアルバイト・パートの募集時平均時給(5月時点)は、首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)で1047円。東京の最低賃金932円を大きく上回っている。

 かつては最低賃金が生活保護の給付水準よりも低い「逆転現象」で、働く人の意欲を阻害しているとの指摘があった。その後、この「逆転現象」を解消するため、積極的に最低賃金を引き上げるようにし、14年度以降は全都道府県で逆転が解消された。最低賃金の水準を守らない企業には罰則が科せられる。最低賃金の引き上げは経営体力が弱い中小・零細企業には打撃だ。日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは「持続的な引き上げには企業の生産性を高める支援策が必要だ」と指摘する。

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