無期派遣 見極めて選択を

2017/07/18
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無期派遣 見極めて選択を

毎日新聞

 派遣会社が無期雇用契約で労働者を採用し、企業へ派遣する「無期雇用派遣」が広がっている。登録型と違い同じ派遣先で長期間働けるうえ、派遣先企業との契約が終わっても、派遣会社から給料が払われるメリットがある。その一方で、派遣会社の説明や支援が不十分で退職につながるケースも。どんな働き方なのか。

 人材派遣会社のアデコ(東京都港区)は昨年7月、事務系の無期雇用派遣「キャリアシード」を始めた。登録型派遣に比べ料金は高めだが、企業からの引き合いは予想以上に好調という。

 キャリアシードは月給制で、年1回の賞与・昇給、退職金もある。採用後、専任のキャリアコーチがつき、1カ月の基礎研修を受けるほか、将来のプランを立てる。一人のキャリアコーチが受け持つ無期雇用派遣の社員は40人程度。働き始めた後も派遣先を訪ねるなどして助言する。

 人手不足とはいえ、事務系の求人は少なく、4月の有効求人倍率は0・40倍にとどまっている。技術職に比べ専門性が高くないと考えられているため、正社員として採用するよりも、採用や育成の手間がかからない派遣労働を使いたいという企業は多い。

 ところが、2015年に派遣法が改正。登録型の派遣社員を同じ組織に派遣する場合、期間制限が設けられた。3年を超すと派遣元は派遣先に直接雇用するよう頼むか、自社で雇う義務が生じる。しかし、無期雇用派遣は期間の制限はない。その結果、正社員を増やしたくない企業が、登録型ではなく、無期雇用派遣を活用するようになった。
 
●「長く働ける」魅力

 アデコの担当者は「見通しが不透明な中、企業の就業形態は(終身雇用だけでなく)プロジェクトに応じた外部人材の活用など多様化している。日本は解雇規制が強く、『優秀な人を長く派遣してほしい』との要望は強い」と話す。
 14年に「ミラエール」の名称で事務職の無期雇用派遣を始めたスタッフサービス(千代田区)は実務経験を問わない。新卒も含め2900人が1000社で働く。

 昨年10月から東京新宿法律事務所(新宿区)で働く五十嵐真弥さん(27)は「ミラエール」社員募集に、「未経験も可能」とあり、登録型より長く安定して働けそうなことも魅力に感じて応募した。

 ●評価され移る例も

 法律事務所での仕事は借金の過払い返還請求手続きに関する事務で、弁護士に代わり事業者と連絡をとることもある。電話応対やパソコンスキルに自信がなかったが、派遣前に2週間研修を受けたことが役立った。今もスタッフサービスの専用アプリで自習したり、担当のキャリアカウンセラーに連絡し「ミスを減らす方法は無いか」と助言を求めたりする。「職場の外にも相談相手がいて心強いです」

 スタッフサービスによると、応募で目立つのは、育児との両立や将来のキャリアを考え、販売・サービス職から転換を希望する若い女性だ。未経験者を正社員で雇い、基礎から育てるのは企業にとって負担だが、派遣会社が育成すれば好都合だ。派遣先に評価され、正社員として雇用された例も170人に上る。

 ただ、無期雇用派遣もメリットばかりではない。正社員や登録型との違いもよく理解する必要はある。登録型は、勤務地など労働者側の希望も聞かれるが、「無期雇用派遣の配属は通常の正社員の異動と同じ」(スタッフサービス)。通勤時間などは考慮されるが、派遣先は派遣会社の指示に従うのが原則だ。派遣の依頼が多い今は、契約終了後も次の派遣先がすぐ決まるが、待機期間中は休業扱いで支払われる額も低い。

 都内の女性(24)は昨年10月、無期雇用派遣でIT系企業に採用されたが、半年後に退職した。
 マッサージ関連の仕事に就くため週末を資格取得の勉強にあて、平日は安定した事務職で社会人経験を身につけるつもりだった。無期雇用派遣の仕組みは事前に説明され、派遣先が決まる前に3週間の研修を受けたが、今後の仕事内容を話し合う機会はなく、関連会社でデータ入力の仕事が始まった。待遇に不満はなかったが仕事に興味が持てず「別の職種を目標とする自分には合わない」と考えた。

 ●支援体制に不満も

 20代を中心に手掛ける人材紹介会社UZUZ(新宿区)の川畑翔太郎専務は「事務系職種を強く希望する人には無期雇用派遣も紹介するが、十分に説明しても退職した例はある。正社員のイメージが強いと、待機期間や、自社以外の企業で働くことに違和感を覚えるようだ」。派遣元によっては、カウンセラーに回す人材が追い付かず、支援が手薄になる可能性もある。川畑さんは、働く側が自分の目標に合う雇用形態なのか見極めて選ぶよう勧めている。

 労働政策研究・研修機構の小野晶子主任研究員は「無期雇用派遣が今後広がる可能性がある」とみている。
 
登録型では複数の派遣会社に登録できる。派遣会社は派遣労働者の教育に投資しても、別の会社で働かれると無駄になる。そのリスクを見込み、費用を抑えざるを得なかった。

 だが、無期雇用派遣にして自社の社員に抱えるなら、その心配はない。「以前から無期雇用派遣の多い技術系職種は、労働者が技能向上に励むと派遣料金や賃金に反映させる仕組みがある」と小野さん。労働力の減少を考えると、事務系職種でも派遣元が教育訓練に本腰を入れ、同様の仕組みが機能する可能性はあるという。「働く側も、優良派遣事業認定制度の評価などを参考に派遣元を選び、キャリア形成を考えてほしい」と話している。【大和田香織】
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無期雇用派遣

 派遣労働者は、大きく分けて登録型と無期雇用派遣を含む常用型がある。登録型はあらかじめ派遣会社に登録し、仕事を紹介される。派遣元と派遣先の契約が終了すると、派遣元と労働者の雇用関係も終了。

常用型は、派遣元が有期または無期の契約で雇用し、派遣先との契約が終わっても、派遣元に雇われる状態は続く。無期雇用派遣は、常用型のうち、期間の定めなく派遣元に雇われる場合を指す。専門知識のある即戦力が必要な技術系職種では以前からあったが、派遣法改正で事務職にも広がった。

派遣元は、募集採用時、無期雇用派遣が通常の正社員募集と混同されないよう、「無期雇用型派遣」の文言を使うなどして明確になるよう留意すべきだとされている。

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